2030年に運用資産額5億円到達を目標にしている”あきひろ”です。
株式投資をするにあたり、日々経済ニュースを見ることが日課になりましたが
そもそもニュースの内容がよく理解できない、って事がよくありました。
歴史や過去の様々な事件、そういう事が現代史に脈々と影響し、今の経済活動の礎となっている事が理解できると、そういった教養を身に付ける事が回り回って株式投資にも大いに役に立ってきます。
お金を増やす事で豊かな人生の一助とする方針はもちろん変わりませんが、例え直接株式投資に関係は無くても、ただ純粋に、教養を身に付ける事というのは物事の深い理解を助けて、人生そのものを味わい深くして豊かな人生を送るものに成り得ます。
今回、2008年の世界同時株安の引き金となったリーマンショックというものについてまとめてみました。
リーマンショックが起きた理由、そしてリーマンショックとはどういうものだったのか?さらに、引き金となったサブプライムローンによる「債権の証券化」とはどういうものなのか、これらの事をいくつかの記事に分けてまとめていきたいと思います。
リーマンショックの概要
大手投資銀行「リーマン・ブラザーズ」の破綻
「リーマン・ブラザーズ」とは、リーマンというユダヤ人の3人兄弟がドイツからアメリカに来て設立した会社、アメリカ・ニューヨーク・マンハッタン・タイムズスクエアにあった2008年に経営破綻したアメリカの大手投資銀行の事です。
そして「リーマンショック」とは、リーマン・ブラザーズの経営破綻を期に世界同時株安を引き起こした世界レベルの金融不安の事です。そしてそれがきっかけで、世界的な大不況をもたらす事となりました。
で、そのリーマン・ブラザーズが経営破綻した時、当時テレビではこぞって元社員がダンボールを持って会社から出ていく姿が流れたのがとても印象的でした。
なぜ皆さんダンボールを持っていたのでしょう?
実はアメリカの場合、投資銀行なんかでは、ある日突然クビになることはよくあることで、会社と従業員との関係はドラスティックです。
突然、「あなたクビですよ」と言われることもあるので、それで怒った社員が「このやろう〜!」とかって会社に損害を与えるようなことをすることがあるので、それを防ぐために、警備の人がその人の荷物をダンボールにまとめてその人に渡す、こういう事があります。
この日、破綻したリーマン・ブラザーズでもそのような事があったわけですね。
会社の倒産を知らされた後には、もう自分の席に戻る事もできず、あとは警備員が自分の荷物をダンボールにまとめて、「はい、あなたの荷物ね」って事でサヨナラさせられるんですね。
少し整理します。まず、日本に於いて金融機関とは大きく「銀行」と「証券会社」に別れますが、アメリカの場合は「商業銀行」「投資銀行」「証券会社」の3つに別れます。
ここが私たち日本人の中には今一つピンとこないところかもしれません。
その中で、リーマン・ブラザーズは“投資銀行”です。
日本にはそもそも「投資銀行」というものが無いので、「大手投資銀行」とか「大手証券会社」という言い方をしています。
どういう違いがあるのか
「商業銀行」というのは、一般の人たちからお金を預かり、その預金を様々なところに貸し付け、その利息を得る銀行。つまりは日本の銀行と同じですね。
「投資銀行」というのは一般の預金者からではなく、金融のプロからお金を集めて運用します。だから銀行という名前は付いていますが、預金者から借りるわけでは無いんですね。”Investment Bank”と呼ばれますが、社債というものを発行して、「自分でお金を集めます。
「証券会社」は株の売買や仲介、そして企業の上場を手伝うなどをして資金を得ます。これも名前の通り、説明不要ですね。
投資銀行:運用専門
証券会社:読んで字の如く
アメリカはこの3つに分けられていますが、日本の場合は2つなので、代わりに証券会社が投資銀行の役割を担っていたり、あるいは一般の銀行にも投資銀行的なことをする部門があったりします。
この中でリーマン・ブラザーズは「投資銀行」に分類されています。
そしてこの投資銀行のリーマン・ブラザーズは2007年に住宅バブルが崩壊し、ローンの焦げ付きによる多額の負債を抱えた事が原因で破綻します。
小さな会社であれば大手の金融機関が合併吸収して救済することがありますが、リーマン・ブラザーズは大き過ぎました。
大き過ぎてどれくらいの負債を抱えているかわからないので、誰も救えなかった。そしてそのまま倒産、という形です。
当時のアメリカ政府の初動のまずさ
破綻に至る経緯を見るには少しアメリカの政治構造を把握しておくと良いです。
アメリカは共和党と民主党の二大政党ですが、大統領がどちらの政党かによって大きく違います。
まず、共和党は「政府は民間に口を出すべきでは無い」という考えを持っている一方で、民主党は「困った時には国が民間にも口を出す」というスタンスに大きな違いがあります。
しない
『民主党』・・・政府は民間に関与する
この時は共和党のブッシュ大統領でした。
最初は公的資金を使って金融機関を救済しようという意見があったようです。つまり、「助けよう」という話もあったようです。ですが、アメリカ議会の中には共和党の議員もたくさんいて、結局「無理だよね」という話になって、否決されました。
するとどうなるか?
そんな感じで金融不安が今より大きくなると考えた人がたくさんいて、翌日からNY株式市場の大暴落が始まりました。
この後、政府は慌てて救済法を成立させましたが、時すでに遅し、既に余波が世界中に広がって世界同時株安を引き起こしました。これが“リーマン・ショック” 。
リーマン・ブラザーズが潰れたことによって起きたショックというよりも、潰れた後の処理をきちんとできなかったことが世界経済の不安定をもたらした、と言った方が正しいですね。
アメリカの経済と政治の関係
ウォール街大暴落を振り返る
ところで、世界恐慌というと、1929年のニューヨーク株式市場でおきた大暴落。
俗に言う『ウォール街大暴落』”Wall Street Carsh”ですね。
この時も直前に住宅バブル・住宅ブームがあったそうです。
住宅バブルが弾けたことで暴落を招いたわけですが、その時の政権は共和党のフーバー大統領でした。
暴落して金融機関が潰れまくっている中でも「自己責任だ!」と言って助けなかったそうです。
余談ですが、会社がたくさん潰れて、職を失った人がたくさんいて、空きビルにホームレスが住むようになって、そういう空きビルを“フーバービル”と呼ぶようになったそうです。
そんな事なので、みんなの不満が高まって、政権は民主党に変わり、大統領はルーズベルトにバトンタッチ。ニューディール政策を敢行し経済の立て直しをはかりました。
当時、「共和党」のもとで世界大恐慌が起き、その後に政権が「民主党」に変わった、という構図です。
民主党への期待
そして2008年、またもやブッシュ大統領の「共和党」のもとで深刻な不況に陥りました。
アメリカ国民は「共和党じゃダメだ、民主党でなきゃダメなんだ」という事でこの時もリーマンショックの後は民主党のオバマ大統領が政権を握った、という事ですね。
第1章のまとめ
さて、第1章ではリーマンショックの概要ということで、リーマン・ブラザーズという投資銀行の紹介と、住宅バブルが崩壊したことによる債務不良で破綻したこと、そしてその当時のアメリカ政府の初動に問題があった事が原因で世界恐慌に繋がった事をザッと説明しました。
ここからはさらに具体的に
- リーマン・ブラザーズは何をやっていたのか?
- 結局のところ、何をやっていて経営破綻するまでに至ってしまったのか?
ここをさらに深く突っ込んでいきたいと思います。
そして、ここを理解するには、冒頭でも出てきた
サブプライムローンによる「債権の証券化」
これらを詳しく理解する必要があります。
次の第2章では、「サブプライムローン」というものの説明から、それによって始まった「住宅ブーム」について詳しく説明していきたいと思います。