2030年に運用資産額5億円到達を目標にしている”あきひろ”です。
株式投資をするにあたり、日々経済ニュースを見ることが日課になりましたが
そもそもニュースの内容がよく理解できない、って事がよくありました。
歴史や過去の様々な事件、そういう事が現代史に脈々と影響し、今の経済活動の礎となっている事が理解できると、そういった教養を身に付ける事が回り回って株式投資にも大いに役に立ってきます。
お金を増やす事で豊かな人生の一助とする方針はもちろん変わりませんが、例え直接株式投資に関係は無くても、ただ純粋に、教養を身に付ける事というのは物事の深い理解を助けて、人生そのものを味わい深くして豊かな人生を送るものに成り得ます。
本記事では、「米中貿易戦争」についてまとめてみました。
これは私自身かなり関心を持っているテーマです。会社では海外事業に従事している関係で、少なからずこの影響を肌に感じています。
「米中新冷戦」「米中ハイテク戦争」いろんな言い方がされていますが、今、アメリカと中国が結構ぶつかっていますよね。
一体何に揉めているのか?それが我々にどう影響するのか?日本人だからといって無関係な話ではありません。むしろ大いに関係のある話です。
極端な話、地球規模の大問題になっていますし、いずれ教科書にも載るでしょうね。
この米中貿易戦争、3つの記事に分けて説明していきます。まず第1章では、そのアメリカと中国がちょっとピリピリし始め、貿易戦争が始まり、そして徐々に過激化していった様子を紐解いていきたいと思います。
Contents
新たなる冷戦の幕開け 米国VS中国
ペンス副大統領の宣戦布告
始まりは、2018年10月、トランプ大統領政権の副大統領のペンスという人がこう演説しました。
「アメリカはもう中国のやり方には我慢がならない!断固として対抗していく!」
要するにこういう事を言ったんですね。
そもそも、アメリカと中国は結構仲が良かったんです。1972年のニクソン大統領の時代以降、経済的には良好関係で、一時期はチャイメリカと呼んでいたり。
むしろどちらかというと、アメリカはロシアとかソ連とか、そちらに対しての警戒の方が強くて、中国に対しては上手く味方に引き込んできていました。
ただある時から、これは味方になるとかならないとかそういう関係じゃ無くなってきたな、ということに気がついたアメリカが「やってやるよ中国!」っていう宣言がこれだったわけです。
1946年、イギリスのチャーチル元首相がアメリカで演説した時「バルト海のステッテンからアドリア海のトリエステまで、ヨーロッパ大陸に鉄のカーテンが降ろされた」という風に表現しました。これは当時ソ連が東ヨーロッパ諸国の共産主義政権を統制し、西側の資本主義陣営と敵対している状況を批判的に表したもで、この演説は東西冷戦の幕開けを示す言葉として、この当時相当なインパクトがあったそうです。
この度のペンス副大統領の演説は、この“鉄のカーテン演説”に匹敵するインパクトだったそうですね。まさに新冷戦の幕開けって感じですね。
多額の貿易赤字と安全保障問題にブチギレ
でもなんでアメリカは怒っているのかってとこですよね。
アメリカっていうのは『世界の最強国』です。GDPは世界一。世界の名だたる有名企業が存在し、トップクラスの企業の株式時価総額だって桁違い。その上リーマンショック以降は相変わらず株価は堅調で右肩上がり。アメリカが風邪を引けば世界が風邪を引く。世界のルールはアメリカが作っている。
そんなアメリカです。そんな最強アメリカが中国に一体何の不満があるのか?
それは大きな貿易赤字です。
今は中国の商品がどんどんアメリカに入って来ています。その上で貿易や商売で赤字がありますが、実はそれの約半分近く、47%が中国との貿易によるものだったわけです。
というのが1つ
そしてもう一つが安全保障問題
というこの2つをアメリカは中国に指摘しています。
「やられたらやり返す!」関税返し!
まずは貿易赤字についてですが、トランプ大統領は自分の事を「タリフマン」と言っています。
って言ってるんです。
“Tariff”というのは“関税”のことです。
“Tariff Man”つまり関税男。「俺は関税男になるぜ」って言ったんですね。
という事で中国に関税をかけ始めました。
それもはじめは関税の対象は特定のジャンルや特定の商品だったんですけど、それでは収まらなかったので、さらに関税!、さらに関税!!と、追加関税していきました。そうしたら、向こうも負けじとそれに対して“報復関税”をかけてきました。
てな具合です。
正直アメリカもこの展開は計算違いでした。
関税をかける事で、中国の商品をアメリカへ輸入しにくくするわけですけど、例えば25%の関税をかけると、アメリカ国内ではその商品が中国が売った値段より25%上乗せされて売れます。
そうなると、アメリカ国内では
という感じになって中国の商品は売れなくなります。
だから、関税をかける事で
って言ってくると思いきや、中国は
って事始まったのが今回の『関税戦争』というわけです。
とか言いつつも中国としては本当は苦しいのかもしれませんが、関税に対して関税、それがどんどん範囲を拡大していきます。
とか言いながらも、また関税!
こんな感じで関税が掛け合うような状況になりました。
ファーウェイ締め出し。「使うな、買うな、作らすな」
そしてもう一つの問題、安全保障。2018年末に『ファーウェイショック』というのが起こりましたよね。
ファーウェイの製品を「使うな」とか「売るな」とか、そういう事で揉めていました。
ファーウェイというのは今や中国を代表する程の大きい会社です。まさしくアメリカでいうAppleみたいな会社です。
スマホのシェアを短期間で急激に伸ばして、今や世界のスマホシェアの中でAppleを超えた中国のマンモス企業。
当初は「Appleのパクリだ」とか言われましたし、質も悪いとか言われたんですけど、いつの間にか品質と業績をグングン伸ばして行ってAppleのシェアを超えてしまった、それがファーウェイ。
そのファーウェイの商品に対して
っていう締め出しをしました。
そんな事を言い始めました。
驚異のスパイツール疑惑:共産党へ全てを報告!?
なんでこんな事を言ったのか?このようにファーウェイの製品を規制したのには、ある疑いがありました。
それが『バックドア』という問題です。
バックのドア、つまり裏口。
アメリカはこういう風に疑いました。どういう事かって言うと、ファーウェイの商品や、あるいはそれに付随するファーウェイ関連のコンピューターの部品には、何かしらの“スパイ的な機能”が仕込まれていて、定期的に中国のクラウドに情報を吸い上げて送っている、そういう風にアメリカは言っているわけです。嘘か本当かはわからないですが、少なくともアメリカの主張はそうでした。
当然ファーウェイは否定していますが、アメリカは
という事で
カナダ・イギリス・オーストラリア・ニュージーランド
これらの国に対して、
と言いました。
カナダ・イギリス・オーストラリア・ニュージーランド・アメリカ、この5カ国は全部イギリスの息のかかった国です。
「Five Eyes」(5つの目)と言われており、この手の国防に関する情報のやりとりをして連携している、英語圏のチームです。
カナダ・イギリス・オーストラリア・ニュージーランド・アメリカ
そのFive Eyesチームに対して「使うなよ」って強制までしました。
その上で、日本に対しても
と、きたわけです。日本はアメリカとの関係がありますから、無視もできません。
ところが、日本はどういう状態かというと、実のところファーウェイが生産しているスマートフォンの部品の大部分は日本企業が作っています。
だから
とは露骨に言えないですよね。
なので
そんなあやふやな事を言っています。
日本、、、完全に板挟み状態です。
過激化する貿易戦争
容赦ないアメリカ、ファーウェイナンバー2を逮捕!!
そして、アメリカはファーウェイに対して、ただ規制するだけじゃありません。容赦ないです。何とファーウェイのナンバー2を逮捕しました。
このニュースは有名ですよね。このナンバー2というのはトップの娘です。この人を何と、カナダが逮捕しました。カナダで逮捕したんです。
でも、「何で逮捕したの?」って事ですよね。
背景を説明します。アメリカは現在イランに経済制裁を行っています。理由としてはイランは何か平和的じゃない怪しげな動きをしているので、経済制裁を加えてやろうって事ですけど、どんな制裁かというと、国際通貨である「ドル」を使わせない、という制裁です。
イランは商売の時にドルを使いたいんですけど、イランに対してドルを支払った銀行はアメリカと銀行取引しません!ドルは譲りません!というドル規制を現在行っています。
そんな渦中、このファーウェイのナンバー2が持ってるファーウェイの子会社が、イランと商取引をしてドルを流した、ドルでやりとりをした、という疑惑があがりました。
そもそもこの人もアメリカから狙われている事を何となくわかっていたから、敢えてアメリカには近づかないようにしていたみたいですが
そんな時に
って、カナダに行きました。
カナダとアメリカも結構親密な関係なので、アメリカはカナダにこう言いました。
といって逮捕したわけですね。
というファーウェイナンバー2。
さらに続ける攻撃:中国企業への規制強化
でもアメリカは容赦ありません。それだけに留まらず中国企業の自由な取引も認めません。なぜかというと、一部の中国企業は今かなりのお金を持っていますので、アメリカのハイテク企業でも買えてしまいます。
その気になれば買えちゃうので、アメリカとしては乗っ取られるのが怖い。本来であれば企業間同士の問題なので、自由経済の国家がここに干渉するかどうかというのは微妙なところですが、アメリカにはCFIUS「対米外国投資委員会」というのがありまして、『国防に危険がある』という事を理由に買収を停止することができます。それで近年11社取締りましたが、なんとその内の9社が中国企業なんですね。
アメリカ・トランプ政権、全力の攻撃です。
でもこれって、“トランプ政権だから”ここまでやっている、って思っている人も多いと思います。
これがアメリカのやり方なんです。
でもそうじゃないんです。実はこのやり方こそがアメリカの御家芸なんですね。
これをかつて同じようにやられたがあります。それが日本なんです。1980年代の「日米貿易摩擦」って聞いたことないですか?私は小学生の頃に受験対策で覚えましたのでめっちゃ記憶があります。実際今回の日中の貿易摩擦がニュースで放映された当初も、「あれ?これって昔の日本のやつやん」て思いましたから。
その昔、日本の商品がバンバン売れてました。車とか電化製品とか、安いし機能高いし、アメリカにバンバン輸出していました。一方その頃日本がアメリカから輸入していたものといえば小麦とかの農産物。アメリカは日本に対して貿易赤字が膨らむ一方です。
そしたら
って言って
その時もNECや富士通の製品を排斥したり、知的財産を盗用したと言って企業を訴訟したり、IBMの技術を盗んだと言って日本人を逮捕したりしていたんですね。今回も構図が同じです。
これはアメリカが世界最強国を維持するために代々やっている事なんですよ。これをトランプもなぞっているというだけなんですね。この歴史が見えているかが重要です。
「トランプ荒れてるな〜」「ファーウェイ売れてるもんな〜」程度じゃないんです。
これは、歴史的にアメリカが世界最強国の地位を守るために繰り返してきた戦い方なんですね。日本はそれで1回やられています。
だから
というわけなんですね。
第1章のまとめ
怒涛のように激化したこの「米中貿易戦争」。火蓋となったペンス副大統領の演説から、アメリカが実は抱えていた中国への大きな不満が爆発しました。
アメリカの猛烈な関税攻撃に、中国も怯むどころか反撃。ファーウェイの締め出し、ナンバー2の逮捕、「トランプ容赦ないなぁ」と思いきやこれは実はアメリカならではの御家芸。なんと実は日本にとっても他人事ではなかった、そんな事がわかりました。
私を含めた投資家の方々は昨年末から今年にかけて戦々恐々の思いになりました。それを体現するが如く激化する米中関係に相関するように動く株価。寝れない日々(大袈裟?)を過ごした投資家は数知れず、だと思います。
この関税の影響を強く受け、ビジネスが立ち行かなくなっている経営者も相当いるはずです。いかに世界中で経済的影響が強いかが改めてわかりますね。
今回この第1章では貿易戦争の始まりから激化していく流れを一通り説明しました。
次の第2章では、ここまでアメリカが警戒する現在の中国がどんな姿なのか、そしてこの戦いはただの貿易上の諍いではなく、世界の覇権争いであるという事を説明していきたいと思います。
ではまた。